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一人暮らしの兄

2017/ 06/ 02
                 

年に数度、電話で会話するだけの長兄から小さな贈り物が届いた。

仕事に行く途中のレストハウスで見つけたからと、「玉ねぎスープ」

美味しかったからという。

「玉ねぎスープ」は、たぶん口実。寂しくなったのだろう・・。

兄とは、子供の頃から日常的な会話を楽しんだ事がなく、仲が良いとは言えない。

いつも高圧的で癖の強い性分の人で、記憶にあるのは怒鳴られてばかりで

ただただ苦手な人でしかなかった。

母を大切にし、10代半ばから働いてひたすら母に尽くしていた。

当時の妻にも母を支えることを当たり前として厳しかった。

その妻が37歳の若さでガンで逝った。

兄は、そうなって、まる一年、妻の病床に付き添い見守っていた。

見舞う私にかける言葉は、いつも辛辣だった。何故だったのか・・

病床の妻に代わって、私は半身不随の母の介護を担っていたし

日々娘の看護も必要だった。兄は何を私に求めたのか・・。

その母が亡くなり、兄は一人になった。

兄の暮らしに新しい風が吹くこともあったけど、結局一人になった。

兄にはいつも取り巻く他の弟妹がいた。姪や甥も・・

私の存在は必要ないとされていたし、私もそれを受け入れていた。

長く、必要以外の便りも会話もする事がなかった。

最近になって、時々電話をかけてくるようになった。

それまでの兄とは思えないほどの愚痴をいうようになっていた。

聞けば、取り巻きが遠ざかったらしい。背かれたと、嘆く愚痴を繰り返す。

高圧的な口調はなくなり、寂しさを感じさせる口調に変わっていた。

近くに住む弟妹、身内がいるのに孤独を感じているらしい。

様々に理由があって、意思の通わない状態になったらしいが

話の中に兄の悪い癖が見え隠れして、指摘されても気づく様子もない。

70歳を目前にして、今更考え方を変えようとは思わないのだろう。

気弱に寂しさを言葉にする兄に優しく対応したいと思うけど

言葉が見つからなくて、聞いて相槌を打つだけになっている。

たぶん、見ないだろうけどショートメールを出した。

「時折、連絡するよ。電話をするよ・・」と。兄から返信はない。

今月兄は誕生日を迎える。

たぶん、電話に出ないだろうけどかけてみようと思う。

たぶん、見ないだろうけどメールも送ってみようと思う。

一方通行では心が通わないし、お互いに若くないのだからと気づいて欲しいから。


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コメント

        

Re: No title
”匿名”の権兵衛さんへ
此処では”権兵衛”さんと呼ばせていただきますね。

ありがとうございます。
返信が遅くなり、すみませんでした。

多大なお褒めの言葉に、足が地を浮きそうな!(^^)!気が致します。
私は知り人に”頑固ちゃん”と仇名されていたこともありました。
その反面、”お人よし”小心者”おっちょこちょい”何も考えてない呆けもの”とも言われてきましたし
10代から老人と接する機会が長くて、その方々には”素直な心根の子”などと可愛がって頂いたこともありましたが
正直言って自分はどういう人間性なのか本人が一番わかっていない気がします。
子供時代より褒めてもらえた記憶は少なく、自分の立ち位置はそういうものだろうと気に留める事もなく
つらつらと可もなく不可もない生き方をしてきたような気もします。
その中で、夫との出会いは、何もかもすっ飛ばすほどの強烈な人生経験となりました。
人の優しさがそんなにも暖かく、情愛とは深く心安らぐものと初めて気が付きました。
長年くらせば紆余屈折は無いとは言えませんが、それがあってこその今。
グルグル遠回りしたけど元の位置に戻ってこられています。
ブログに書いている日々のあれこれは、そういうなんてことない特別な私の想いなのですよ。
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